(千代田区ゆかり枠)神田・麹町の文化人たち
千代田は“出生地”としては住民数が少ない一方、神田の出版・学生街、麹町のメディア・文化機関が集積。編集者・批評家・放送人など、都市文化の“作り手”を多数輩出してきたエリアだ。
谷崎潤一郎(日本橋区〈現・中央区〉生)
近代日本文学の美と耽美を象徴。商都・日本橋の気風を背に、都市文化の粋を作品に昇華した。出生は日本橋区(現・中央区)。
芥川龍之介(京橋区・入船町〈現・中央区〉生)
『羅生門』『鼻』で短編の極致を築く。商業と出版が集積した京橋界隈の空気は、彼の観察眼と都市的な諧謔に通じる。
池波正太郎(浅草区〈現・台東区〉生)
『鬼平犯科帳』『剣客商売』――江戸下町の気風を活写。浅草〜下谷を生活圏に、味・芸・町人文化の目で江戸を描き切った。
ウィキペディア
河竹黙阿弥(日本橋小舟町生まれと伝わる)
歌舞伎の大狂言作者。商家の町・日本橋を根に、粋と人情の機微を台本に刻み、江戸演劇の完成度を一段引き上げた。
歌川広重(江戸八丁堀・日本橋界隈出身とされる)
『東海道五十三次』で風景版画の金字塔。橋・川・往来……中央区周辺の気配を視覚化し、都市の景観感覚を鍛えた存在。
市川團十郎(成田屋/木挽町〈現・中央区銀座周辺〉ゆかり)
江戸歌舞伎の代名詞。芝居町・木挽町を舞台に、荒事の美学を確立。日本橋〜銀座一帯の劇場文化を牽引した“顔”。
横山大観(上野・日本美術院ゆかり/台東区)
東京美術学校(現・藝大)と上野公園の日本美術院を拠点に、日本画の近代化を主導。上野という“学術・芸術の丘”が生んだ巨峰。
樋口一葉(龍泉寺町〈現・台東区竜泉〉居住=“ゆかり”)
生まれは本郷だが、竜泉での暮らしが『たけくらべ』など下町青春譚に結実。吉原・浅草の生活圏を、女性の眼差しで文学化。
中央区・台東区・千代田区の三エリアは、それぞれ異なる都市的土壌が重なり合って日本の近代文化を押し上げてきました。商都・日本橋と銀座の出版・流通が集積する中央区は、谷崎潤一郎や河竹黙阿弥、歌川広重らの「粋」と「モダン」を育みました。浅草・上野を抱く台東区は、寄席・芝居・寺社・市の活気を背景に、池波正太郎や樋口一葉、横山大観の作品世界に下町の体温と芸の香りを与えました。千代田区は、神田神保町の書店街や麹町のメディア、学術機関が密集し、編集者・批評家・放送人ら“文化の作り手”を絶えず輩出しています。
橋と川が結ぶ回遊性、劇場や美術館・書店街の歩行圏、祭礼と市場が持つコミュニティの結節点――こうした都市のインフラと生活リズムが創作の循環を生み、古典から現代へと価値を更新し続けてきました。三区の文化資産は今も観劇・展覧会・古書探索といった体験へ接続し、新しい表現者の登場を後押ししています。江戸から東京へ受け継がれた「暮らしが芸になる」地勢こそが、ここに列挙した文化人たちの根であり、これからの創造の土台でもあります。
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